マクドナルドの礎築いた男の哲学「常識にこだわる奴は常識に殺される」
「売れない」と言われたチキンナゲットを売りまくった
■「ケンタッキーがだめだったのに…」反対されたチキンナゲット
よい社長、よい副社長、よい部長、よい上司というのは、よい判断をする人のことである。
私のビジネスのことだが、1984年、チキンナゲットを扱うかどうかというときに、私は判断に迷った。というのも、チキンナゲットは1983年に、チキンの専門店の「ケンタッキー・フライドチキン」が売りだして、まるで売れなかったために、日本では売れないと判断して販売ストップを決断した商品であるからだ。それを日本で売ったらどうかという話がもちあがったのだ。
社員の意見をきいてみると、鶏専門屋のケンタッキーさんが失敗したのをハンバーガー屋が売っても成功するわけはないという意見が圧倒的だった。
が、ためしに、チキンナゲットをつくらせて試食してみた。すると、うまい味になっている。
これなら日本でも売れる、と私は判断した。
そこで、どれぐらい売れるかという予測を立てたのだが、全売り上げの一割、という見方が強かった。
私は、もっと売れるはずだから、商品を多めに用意するようにいった。売り上げ目標を全売り上げの19パーセントとはじいたのだ。
そうして売りだしてみたら、なんと、全売り上げの28パーセントも売れたのである。
こんなに売れると、いくら商品を用意してもたりない。
そこで、アメリカから飛行機で製造機械を輸入して、伊藤ハムさんの工場に据えつけ、24時間、徹夜でチキンナゲットの製造をはじめた。伊藤ハムの常務取締役伊藤正視さんが、こんなに徹夜つづきだと社員が死んでしまうと悲鳴をあげたほどである。